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2004-03-08

インド旅行記−アザーンの響き

slum.JPG
これは、ヘルスセンターの屋上からみた、スラムの全景です。

 スラムの近くにあるアーバンヘルスセンター(病院)に着いたが、「ハンセン病科」という独立した科が存在するのを見て驚いた。アーバンヘルスセンターの奥、二部屋に案内される。奥の部屋にはパソコンが置いてあり、カルテの入力が行われていた。手前の部屋の机の上には、いくつかのリハビリ用器具が置いてあり、それぞれについて説明を受ける。どの器具も手作りの簡単なもので、「バネ」の力を利用している。手首に固定具をはめ、そこからゴムで繋がった輪っかを指にはめる道具は、変形した指を戻すと同時に、使いやすい位置に固定するものだった。同じく、プラスチックの反動を利用して、曲がった指を元に戻すもの、脚につける器具などの説明をうけた。この道具は、全て手作りで、患者に貸し出している。患者は、この器具を、一日で最低6時間以上装着しないと、効果が出ないという。

 さらに、ここには投薬用パッケージもあった。長方形のプラスチックベースに薬が等間隔にパッキングされており、その上に数字が付いている。一日目にこれだけ、二日目にこれだけ、二週目はこれだけという、服用する薬の量と種類が数字で一目で分かるようになっている。一パックで一ヶ月。薬の種類としては、治療薬と身体機能低下を防ぐ薬、二パックが用意されているという。これらの薬は、全て、なんとあの笹川財団が全世界のハンセン病患者に対して無償提供しているという。繰り返し尋ねたが、やはり全世界だと言われ、その貢献度に度肝を抜いた。

 一週間に二回、患者たちが治療を受けに来て、これまでの3000人が完治したという。ハンセン病の患者の治療には約1年かかるが、田舎からスラムにやって来た人は、数ヶ月しか同じ場所に住まないため、継続的な治療を困難にしている。デリーや他の都市からもムンバイのスラムにやってくるため、他都市圏からの患者の流入が著しい。ムンバイにやってきて、とりあえず住むところと仕事を探すとなると、まずスラムに住み着くという例が多いからだ。

 次に、屋上に行って、スラムの全景を見渡す。スラムの家を一軒一軒尋ねて、患者を捜し、フォローを行っている女性の話を聞く。一面のトタン屋根、広大だ。ここに60万人が住んでいるらしい。後日、他のNGO団体のワーカーをやっている女性に伺ったところ、小さな家に10人、時にはそれ以上の家族が一緒に生活しているという。屋根の上一面に洋服を干している家、物を売っている家、いろんな職業の家がある。ハンセン病患者は、自分の病気のことを「stigma(聖痕転じて天罰)」と考える傾向があり、なかなか自分から見せにくることはないらしい。主に、皮膚に現れる「色斑」を手がかりに、ワーカーが一軒一軒訪ねて回って、患者を捜すのだそうだ。

 丁度、お昼も1時頃だった。ふと気が付くと、「アザーン」が聞こえてきた。「アザーン」とは、イスラム教の1日5回の礼拝の前にモスクの尖塔から歌うように呼びかける礼拝の呼びかけ声のこと。そこは、スラム、モスクの尖塔などあるはずもなく、拡声器からの声だったけど、とても心地よい響きだった。

 そう言えば、昔の日本は明け六つと暮れ六つ、お寺の鐘がごーんとなった。ヨーロッパでは、カトリック教会の鐘がからんからんと鳴る。イスラム教では、時をつげるのはアザーンの響きなんだ。
 でも、時計のない頃、日本みたいに夏と冬で日の長さが違う場合、どうやって、鐘を鳴らす人は、明け六つと暮れ六つを知ったんだろう。雨の日とか?謎は尽きない・・・。

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コメント

インド紀行、面白いね。
デジカメ写真もしっかりと、鮮明に入っているから、偉いものだ。この紀行文、まだまだ続きそうですね。
楽しみにしています。
          ほのぼの こと 落合英夫

投稿: ほのぼの | 2004-03-10 16:27

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