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2006-09-13

ダリットの女性達(1)

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WOLDの主宰は、プレマさんという女性(写真中央真ん中のピンクのサリーを着た女性)。ダリット出身でクリスチャンの恰幅の良い女性である。プレマさんはお父さんから多大な影響を受けたのだが、このお父さんの話がとても面白かった。

まだイギリスが支配をしてた頃、イギリスのさるミッションが、インド人への宣教目的で寄宿学校を作ったという。そこへ入れば、学費はタダで勉強をさせてもらえるのだが、誰も行きたがらない。西洋人は怖いと思われていた時代である。仕方がないので(?)、なんとそのミッションはダリットから子どもを捕まえてきて(^^;(プレマさんの表現)、寄宿学校に入れたんだという。プレマさんのお父さんが寄宿学校に取られたのは3歳の時。プレマさんの表現によれば「馬に乗った西洋人がやってきて、まるで鶏を捕まえるみたいに、ひょいと捕まえたんだ」という。両親はもちろん知らなくて、しばらく経ってから、「あの子はイギリスの寄宿学校にいるらしい」ということが分かったという。

なぜミッションが、寄宿学校を作ったか…。宣教するには勉強が必要だからである。まず聖書を読むためには字が読めないといけない、説教するには弁が立たないといけないし、文章の構成力もいる。プレマさんのお父さんは18歳までそこで勉強し、その後、外にでて教え、導き、説教して回ったという。

プレマさんのひぃおじいさんは、マハラシュートラ州(ムンバイのある西北隣の州)出身。イギリスからの独立をめぐって内戦が起こったとき、マハラシュートラ州からこのタミル・ナドゥ州に歩いて逃げて来たという。北の出身のため少し色が白い(インドでは、肌の色が白い方がカーストも高く、尊重される傾向がある)。地元の人とは少し違うことで「外部からのインパクト」となったのが、この地域でプレマさんが指導力を発揮できた理由だと、プレマさんは自己分析していた。

プレマさんの信条は Be Simple. Be with people. Love each other. である。

プレマさんは外国の支援のやり方には批判的である。西洋のミッションは、多額のお金を集めて来てそれを貧しい人に配る。そんな他力本願では、自分たちはいつまで経ってもこの状態から脱却することはできない。地元で、地元のやり方で、地元の人自らが自分たちの生活を変えていかなければならないのだという。インドの80%が農村地域。この農村地域を解放することが、国全体を解放することだと力説していた。

ダリット(不可蝕賤民)は、カーストの枠外の一番下に置かれて差別され、社会的にも経済的にも非常に苦しい生活を強いられている。だがそのダリットの男性の下にいる女性が一番、辛い立場に置かれているのだ。ダリットの大きな問題として「アルコール問題」がある。ヒンドゥー教徒もイスラム教徒も基本的に禁酒だが(インドでお酒を飲む場所は限られている)、ダリットの社会にはアルコールが深く入り込んでいる。日々の辛い生活から逃げる意味もあるのだろう。アルコールを飲んで、暴力をふるわれるダリットの女性は非常に多い。インド社会では基本的に離婚はできない。そういう女性はどうするのか?離婚できないのか?と尋ねたら、「それは無理だ」と言われた。じゃぁどうするのか?と聞くと、一言、「accept」、ただ受け入れるしかないのだという。

ダリットの女性達から一人一人自己紹介を受けたときのこと、一人の女性が「うちのダンナはいい人だ」というと、わぁ~と歓声が上がった。また一人「うちのは最高!」って言うと、やんやの喝采だ。だが、もしうちのダンナは酒飲みで暴力をふるうと外で言おうものなら、「お前は外でおれの悪口を言った」と酷い暴力を受ける。

そう、それは彼女たちの悲しい嘘なのだ。

それでもここでは女性達の自助組織(SHG: Self Help Group)が各村に浸透して、非常に大きな力となって、成功している。自分たちが働いたお金(普通なら全部夫に取られる)の中から少しずつを積み立てし、額が大きくなれば銀行からローンを借りて家を直したりしている。

地方の役人と交渉して、ダリットの組織が、ある市場の徴税の役目を請け負うこともできた。彼女たちは非常にまじめに細かく税金を徴収するので、政府の役人も大喜び、彼女たちにとってもわずか50ルピーだが大事な収入源となっている。

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