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2010-06-07

ロッカビーの女たち

 今日は、待ちに待った労演の例会、 「ロッカビーの女たち」を見に、芸館に行って来ました。
 日曜日ということもあり、満員御礼で、補助席まで出す盛況ぶりでした。

 1988年に起きたパンアメリカン航空爆発事故、乗員乗客全員と地上の村の村民がなくなった事件を扱った事件です。クリスマス直前、息子の帰りを待ちわびていた家族に悲劇が襲いかかります。そう、一瞬にしてワイドショーの悲劇の主役になってしまったのです。7年経っても息子の死を受け入れられない母親。息子の遺体は、かけらさえもなく、遺品も何もなかったため、心の整理がつかないのです。

 お話ははっきりいって暗いです。夜の場面から始まるので、場面も暗いです。胸は締め付けられるように痛くなるし、涙は滂沱のごとく首筋まで流れるし、辛い。。。

 けど、本当に良かった。良いお芝居でした。。。。

 というのは、多分、人間の悲しみとか苦しみとかから逃げずに、真っ正面からリアルに描いているからなのでしょう。

 憎しみを愛に変えるなんて、並大抵のことじゃない。
 悲しみなんていつまで経ったって、癒えるもんじゃない。時間が解決するなんて嘘だ。
 寝ても覚めても、悲しみは襲って来る。逃げることはできない。

 そう、安直な絵空事は現実にはないのです。

 物語の主人公マデリーンが味わった苦しみにはほど遠いかもしれないけど、私も生きるのが辛くて辛くてしょうがないときがありました。

 その時言われた言葉…「私はあなたの人生を代わって生きてあげることはできない。あなたの苦しみはあなたのものです。」「イヤだ、そんなの」っていう一方、「私の苦しみは誰にも分からない」って閉じこもる。分かって欲しいのだけど、分かって欲しくない。

 マデリーンも悲しみやつらさを周りにぶつけてぶつけて、どうしようもないけど、結局は、自分で癒していくしかしかたがないのです。でも、それは並大抵のことじゃないのです。ジタバタ暴れて暴れて…、それでも悲しみも苦しみも片時も離れず追いかけて来る。この世の地獄。

 ちょっと宗教的なことになるけど、その時に非常に納得したことがありました。イエスが十字架にかかって死にます。そして復活するのですが、死んですぐに復活するわけじゃない。その間に、黄泉に行くのです。3日間地獄をさまよってからでしか、復活できない。

 そう、人間そう簡単に立ち直れるもんじゃないんです。復活するためには、地獄をさまよわなければならない。

 その地獄を、きちんと描いていたのがこの作品です。だから、リアルに胸に迫ってくる、嘘じゃないリアルがそこにある。

 その地獄をさまよっているマデリーン、悲しみを表には出せないけど、同じように悲しんでいる夫。一番近いのだけど、だからこそ一番遠い存在。そして憎しみをぶつけてしまう。 「憎しみは傷ついた愛の形」 愛の反対は憎しみではなく、無関心。

 そのマデリーンと同じ苦しみを味わっている、同じように家族をなくしたロッカビーの女たち、時に憎しみが表出したり、感情をぶつけたりしながらも、なんとかしようと、何か行動を起こすことで自分を癒していこうと、ランドリープロジェクトを始める。

 決して簡単なことじゃないし、決して理想論じゃないけど、確かに、憎しみは愛で乗り越えられるのかもしれない、癒しはいつか訪れるのかもしれない。。。

 マデリーン役の寺田路恵さんは素晴らしかった!
 
 個人的には、アメリカの役人と掃除婦のやりとり、辛い中にちょっとほっとする笑いがあって、ほんとホッとしました。。よく出来たお芝居だ~~。

 終わった後、交流会があり、出演した俳優さん方5人も、来て下さいました。直接お話が聞けるのは、ほんと楽しい。今回「ロッカビーの女たち」は再演だそうです。再演の方がはるかに良くなったそうです。現地イギリスで、西海さんがお芝居を観たとき、基本二人芝居で、女達はギリシャ劇のコロス(コーラス隊)という位置づけだったそうです。今回も女達は時にハモり、詩を奏でます。でも、全くお芝居の中に融合していて違和感がない。それは演出の力だとおっしゃっておられました。

 こんなお話が聞けるのも、演劇鑑賞会ならでは。。。

 ロッカビーの女たち、今日(7日)、明日(8日)も午後6時半から京都芸術会館でやっています。お問い合わせは、京都労演まで231-3730。ぜひみんなに見てもらい、演劇鑑賞会を知っていただきたいので、見たい方はどうぞ問い合わせて下さい。
 

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